2006年6月 7日 (水)

水尾

先日、君嶋さんに紹介してもらったお酒。

「水尾」(長野県)

氏いわく、「水みたいな酒、野菜にあうんですよ。色も青い」。(今月のヴィノテークの日本酒バイイングガイドにもこの純米大吟醸が掲載されている。)

君嶋さんが「水みたい」とすすめているのは少し不思議だなと思いながら香りを利くと、冬瓜のような緑の瓜の香り、フルーツの香りもあり、ソーヴィニヨンブランのような印象。たしかに「青い」。

同席していた京都のまつもとさんも「青い酒っつうのはええ酒なんや」といいながら、、

「おー真ん中すっぽぬけやー」。

なんというコメントかと仰天していると、

君嶋さんが、「だから料理にあう、そこが水みたい。この真ん中が埋まっていると酒だけで飲める酒。真ん中がぬけている分料理を受け入れる懐がある」とのコメント。

なるほど、確かに、香りが高く、軟水系のうまみがあり、酸、渋みも程よく備わっており、味わいは多いものの、ちょうど上あごから、下の中央のあたりポーンと抜けてくる感じがある。

「真ん中すっぽぬけ。」な味わい。

「水みたい」という表現は、薄っぺらいとネガティブな表現と考えていたが、この場合の「水みたい」は、「軟水の天然水のようなうまみがありミネラルのある水」のニュアンスなのだなーとまた、新たな感覚を学んだ気がしました。

オクラや、ナス、冬瓜など夏野菜にぴったりの酒です。

夕方の縁側で風鈴聞きながら、浴衣姿の美女と冷えたきゅうりでもつまみながら、やりたい酒です。

この店のマネージャーが好きそうな味かな。

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2006年5月 8日 (月)

日本酒の話8

久しぶりに日本酒の話。

もうすぐこの店がオープンということでだいぶ盛り上がってきました。

菊姫 本仕込み純米酒 平成8年 65%山田錦

これは事務所のそばの内藤商店さんで購入。この内藤さんも地酒、焼酎の取り扱いにはこだわりがある。この菊姫はじめ、まつもと、天青、天明など銘酒の品揃えが良い。たまに帰りによって、一本ぶら下げて帰ります。

この菊姫も、その一本。

BYといって、「ブリューワリーイヤー」何年仕込みといういわゆるヴィンテージな言い方が定着しつつある日本酒。(例えば平成15年仕込みの場合は H15BYと表します)

さりげなく内藤商店の店内を探していましたら、見つけてしまいました。。。

H8BYです。9年前です。こんなものが仕事帰りに見つかるとは思いもしません。しかも、、安い。1400円くらいでした。。。不安になるぐらいです。腰の強い独特の酒を作る菊姫のこと、きっと、味わったことのない魅惑の世界なんだろうなーと胸膨らませて帰りました。

まず、色は、、、麦わら色。グレンフィディックくらいの色合い。。期待十分です。

香りは、、、干しあんずのような熟した甘い香りと米ぬかのような香り。うーんいかにも菊姫。そしてしばらくすると、キャラメルなような甘い香りが立ち上る。

味わいは、、口あたりはなめらか。シルキーでクリーミーな口あたり、非常になめらかで、熟成したメルローのような印象。そして非常に繊細できめ細かい酸が心地よくはじける。バチバチっと暴れる酸ではなく、シミシミシミシミとくる感じ。良質リースリングのような酸の心地よさ。全体に辛口ながら、クリーミーで、繊細。

日本酒を飲んでいるのだかなんだかわからなくなりましたが、酒として非常に優れた味わい。何と比較するのが適切かわかりませんが、この酒が720mlで1400円であることが異常に安いというのだけは間違いないと確信できました。

さて料理は、、、これが非常に面白いことに。。

何でも合う。。。それを言ったらおしまいだが、本当に何でもあう。いや、この酒は何にでも酒のほうが合わせることができるといったほうが良い。。かな。

例えば、酸の効いたサラダなら、酒の酸のほうが、サラダの酸を引き立てて、酒もそれに合う味を見せてくれる。焼いた大豆が相手なら、大豆のほっくりした甘みを強調するように、酒がそれを引き立たせる。肉ならば、その肉の旨みを強調しつつ脂がしつこくならないように酒がさっと切ってくれる。

そう、あわせる料理によって、酒のほうが変身してその料理のよさを引き出してしまう。。

これは非常に不思議な体験でした。ワインにはあまりこういう感覚はありません。肉にあったら、野菜にはあわなかったりします。しかし、この酒(もしかしたら日本酒というものは)は、肉のときは肉にあうように、野菜には野菜にあうように、変身します。本当に不思議です。。。

そう、これは、何かに似ています。そう、ごはんとおかずの関係。

肉のおかず、野菜のおかず、魚のおかず、辛いおかず、甘いおかず、こってりしたおかず、さっぱりしたおかず、、、どんなおかずにもごはんは合います。おかずによってごはんの味わいがかわります。

米というのは、そういう性質でそういう役目なのかなー。と感慨にふけっていると。。

こういう性質って何かに似てるなっと。。。

そうそう、日本人。日本人の気質ってのは、米から来ているのかもしれませんね。

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2006年4月 8日 (土)

日本酒の話6

Photo_7 天界 純米吟醸 雄町

最近、昔からの知り合いと、ひょんなところで繫がったり、偶然、旧友とであったりします。

シンクロニシティというのでしょうか。ふっと思ったり気付いたりすると、パタパタパタっといろんなことがつながったりします。

高校の同級生が君嶋屋さんの君嶋社長と知り合いで、一緒に飲ませてもらったり、その君嶋屋さんの情熱シリーズという酒を造っている「澤屋まつもと」の松本酒造の子息が、前職の会社の後輩であることがわかったり、、、

出店を予定している物件の二階が知り合いの店だったり(しかも同じ大家さん!)。

もうちょっと偶然は、おととい家の近所で幼稚園の時の同級生とばったりあったり、、(実に20年ぶりくらい。私は引っ越しているので、本当に偶然!  まあ、お互いよくわかったものです。)

これはやっぱりご縁というものでしょうね。ただの偶然で終わらせるには出来すぎだと思いますので、なんらかのご縁の力が働いているのでしょうね。感謝感謝です。

と、ご縁といえば、「結び」の神、出雲大社。婚礼の神社としてよく知られていますが、この「結び」は男女の縁の結びだけではなく、

「人間が立派に生長するように、社会が明るく楽しいものであるように、すべてのものが幸福であるようにと、お互いの発展のためのつながりが結ばれることです。」(出雲大社HPどおり)

だそうです。

ということは、私のこの最近のご縁も、、いやいや私のこれまでの人生でのご縁も出雲の神様のおかげなのでしょう。

っと、、相変わらず遠まわしになりましたが、そのご縁の国、出雲の酒。なおかつこの尊い名前。これはこころして飲まなくては。。

米のふっくらとした丸い、ほのかに甘く、ほっくりした香り。これはまさに「瑞穂」の風情。

口当たりはなめらか。酸、渋味ともに少ないが、全体のボリューム感があり、余韻も長い。派手さはないが、ぐんと印象にのこる味わい。そして、ごはんが食べたくなる。そして、目の前に「里」の風景が広がる。日本昔話にでてくるような。。いろり端でおじいちゃんに昔話でも聞きながら、芋煮でも食べながら、飲みたい。。そんな「ザ日本人的郷愁」を呼び起こすような味わいです。

味わいでそこまで思うのか?

いや「出雲」「天界」というイメージが手伝っているのも事実でしょう。

でもそれも含めてこの酒の味。

その産地と銘柄の関係も、産地と蔵元関係も、蔵元と酒屋さんの関係も、酒屋さんと私たちとの関係も、私たちとお客様との関係も。そして、そのすべての関係も、

すべて、「ご縁の結び」の賜物ですから。

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2006年3月31日 (金)

今日の日本酒4

Photo_4 国権 純米生原酒

ホリエモンの逮捕以来、なんだか、世の中が「ザ・伝統日本」旋風に見舞われているように思う。

「国家の品格」が売れ、渡辺恒三さんが国対委員長になり、WBCで「日本の野球」が勝ち、中曽根さんがテレビに多く登場するようになり、新聞やテレビでは、「日本人として」「日本の誇り」「日本に自信」などの言葉が飛び交っています。

なんとなく、私も日本人の端くれとして、やっぱり日本っていいなーなどと日本酒を味わっていた。。

そんななか出会ったこの酒。

「国権」

すごい名前です。国の権威ですから。なかなか付けれない名前でしょう。しかも、産地は福島。。会津です。会津といえば、そう武士道を貫いた最後のサムライ白虎隊。

迫力です。なんとも硬派な印象です。

びりびりっと辛いのかな?どしーんと想いのかな?、、

恐る恐る香ってみると、、、あらあらチャーミングな青リンゴの香り、そして、口に入れるとほんのり甘いうまくち。上あごをなでなでするようなふわふわの丸み。そして、キメこまやかく繊細で、程よい強さの酸、渋味は、、、ちょんと控えめにフレンチキス程度の控えめなニュアンス。辛口だが、アルコール強さは感じない、しかし、後口は程よくながい。

この後口で渋味と酸が軽快に踊りながら、抜けていく感じが何とも品がよく、また、次の一杯をそそる。

いいじゃない。。。

このちょっとおっかない名前とのギャップがまた、いい感じに思えてくる。

ホームページを見たところ、この名前

「明治維新後の富国強兵政策や自由民権運動が盛んになってきている時代背景を元に、『国権』と名付けたのではないかと思われます。しかしながら現在ではその意味を、独立国としての国の権利と解釈し、理解している次第です。」

やっぱり、そのとおりなんですね。~

それにしても本当にいい酒です。かの「飛露喜」も福島。福島酒、注目ですね。

料理は、脂の乗った白身の魚を焼いてレモン絞ったり、根菜の素揚げ、オイル系のパスタもいいですね。

これも飯田橋リストに入れておこう。

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2006年3月30日 (木)

今日の日本酒3

Photo_2 萬寿鏡 特別純米酒

 新潟の酒というと、前回、前々回の地酒ブームの立役者。偽者商品が出回ったほど、ヒートアップしました。

 越の寒梅、久保田、八海山が代表的な銘柄。ディスカウントショップで10000円なんて値段がついてたりしました。今の森伊蔵や佐藤のように。。

 その時のいい日本酒のイメージは、飲みやすい=端麗辛口でした。よってなんとなく、私は新潟の酒は、飲みやすい=端麗辛口→水みたいな酒→料理には負けちゃううだろう、という偏見をもっていました。

萬寿鏡(マスカガミ)。。

そもそもこの名前自体、いかにも端麗辛口ですよ~という感じでしょ。

「鏡」ですから、キラッキラっとしてますもん。渓流に、色白の若く純粋な乙女が、顔を写して、さっぱり、綺麗に、マスカガミという感じ、、、

失礼、妄想が過ぎました。

というイメージなので、口に入れるとき、すでに、鼻と舌がそういう酒が入る準備をしています。

香りはというと、、、

びっくりです。完全に妄想を覆されました。色白の乙女は遠くに飛んでいきました。

すごい香り。ヘーゼルナッツのような、香ばしいような甘いような香り、すこしオイリーなニュアンスもある。

色白の乙女の代わりに、室井佑月さんが現れてきました。

すみません、許してください。これ以上、責めないでください。。。という感じ。(?)

口に入れると、ドーーンとくるかと思いきや、、丸い。味わい全体が丸く、旨みにあふれている。口の内ほほが笑っちゃうぐらい平和な旨みが広がる。おお、意外とやさしいんですね~。

と油断をしていると、なんだか、唾液腺が騒いでいます。ジリジリとキメの細かい酸が攻め寄ってきます。そして、直後に渋味が「あらよ」っとやってきます。

小股が切れ上がるというのでしょうか、最後パキっとキレます。

いなせな旦那が、風呂上りに手ぬぐいでパシと肩を叩くような感じで、、

イメージが固定されていただけに、完全に揺り動かされて、味の主導権を奪われてしまいました。。

そこで、再度、仕切りなおして、飲んでみると。。

いい酒ですね。色々な味のエッジが聞いているのに、全体が旨みで調和されていて、次の一杯と料理を誘う。

赤身の肉もいけるし、フォンドボー系のソースでもいける。酸と渋味が利いているから、揚げ物もいけそうだし。。。

この蔵元さん。ホームページ見ましたが、色々なシーンに合わせて酒を楽しんでもらいたいというポリシー。特に料理との相性に気を使っているようで、料理とあわせるために敢えて香りを抑えた純米吟醸や、一人の晩酌のための酒や、熟成酒などを造っている。

かと思えば、ワインのボトルのかわいいやつとか、鏡餅の形の酒ともあって、面白い蔵元。

カリフォルニアのロバートモンダヴィのような多様性のある戦略です。

あと普通酒も60%精米で造っていて、賞賛される酒を造るのではなくて、普通に飲む酒を旨くしたいという想いをひしひしと感じますね。

精米へのこだわりのところで、私は今まで誤解していたことを教えてもらいました。

米を削るということは、雑味を取るということだとは理解していたのですが、私はその結果、味わいがさっぱりするものだと思い込んでいました。さっぱり、クリアにさせるために米を磨くものだと。このサイトによると、旨みを多くするために削るということらしい。

なるほど、この酒の全体の味を調和させ、丸くつつんでいた品の良い旨みは、精米によってできたんでしょうね。

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2006年3月29日 (水)

今日の日本酒2

Photo_1

鍋島 特別本醸造無濾過生原酒(佐賀県)

ナベシマ、、、、

自分の名前が渡辺なだけに、世の渡辺さんのご他聞に漏れず、「ナベ」とう言葉には、愛着があります。

「ナベさん」「なべけん」など、大抵の渡辺さんは「ナベ~」という愛称を授かることになる。人ごみで「なべさーん」と叫ぶと、2人くらいは振り返るといわれるぐらい、メジャーなニックネームです。

しかし、不思議と今まで「ナベ~」と呼ばれる女性に出会ったことがない。

私の家内も、もちろん「渡辺」一家の仲間ですが、「なべちゃん」などと呼ばれたのを聞いたこともない。私の知人に結婚して渡辺一家の仲間入りした方がいまして、「これで、君も明日からなべちゃんだね」といったら、露骨にいやな顔をされたこともありました。

どうも「なべ~」というのは男性にしか適用されない愛称のようである。

確かに「なべ~」という響きからは、「チャーミング」「エレガンス」「気品」といった女性を賛美する言葉は想像できない。むしろ「元気」「おもしろい」「愛嬌がある」ときに「頑固」といった言葉のほうが似合う気がする。。。偏見ですが。。

前置きが長くなりましたが、この「鍋島」。

名前がそういうイメージなので、結構男っぽい酒なんじゃないかなーと思っておりました。

アルコールが強くて渋くて、どっしりして、糠香がして、、、、なんて。

ところが、香りを嗅げば、澄んだ甘いメロンのような香り、本醸造だが、口当たりは丸く、やさしい甘みがあり、酸も程よくグラマー。かつ、後口はしっかり渋味がキレ、サッパリしている。

男性どころか、気品あふれ、クレバーでかつセクシーな都会的女性のよう。

こんな綺麗な「なべさん」が世の中にいたとは。。。

この蔵、佐賀県のわずか年間280石(コク)の極小蔵。

っと石(コク)といわれてもイマイチぴんときませんね。

1石とは180L。180Lは一升瓶100本分なので、28000本。365日で割ると、77本。。

つまり、1日77本分しか売れないということ。

一族の専務が一人で造っているそうである。

こういう小蔵の酒は、ワインもそうであるが、造り手の執念が入っているので、飲むとゾクゾクする。パワフルだったり、緻密だったり、一ひねりあったり、繊細だったり、ゴージャスだったり。。

今度のこの店の2号店はそんな日本酒をリストしていくつもり。

この「なべさん」も候補だな。。

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2006年3月18日 (土)

今日の日本酒

醸し人九平次 純米吟醸 うすにごり 百万石

青りんごのような華やかでチャーミングな香り。たてに伸びる芳醇な旨み。心地よい酸「旨、甘、酸、苦」それぞれの品がよく。まとまってくる。ゴージャスながら、POP。

「洋モノの日本酒」の異名にふさわしく、バターやクリームなどのニュアンスによく合う。サンセールブランを彷彿させる味。

九平次は実際海を渡った酒としても有名。

パリの三ツ星「ギィ・サボワ」やアランデュカスの「スプーン」、かの「ホテルリッツ」そして、話題の「ガニエール」などのワインリストにオンリストされているそうです。

帆立のバター焼きや、ほろほろ鳥と焼きリンゴのブロシェットに合わせたい酒。

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